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眞田 幸尚; 吉村 和也; 佐藤 里奈; 中山 真理子*; 坪倉 正治*
Journal of Radiation Research (Internet), 64(1), p.2 - 10, 2023/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.06(Biology)東京電力福島第一原子力発電所の事故により設定された避難指示区域は、周辺線量率の低下や除染の進捗に応じて再編成された。日本政府は、2030年までに帰還困難区域を除染し、避難指示を解除することを決定した。この放射線防護戦略は、これまでの緊急被ばく状況や事故後の現存被ばく量を調べることで最適化することができる。本稿では、特定復興再生拠点区域とこの区域外の帰還困難区域において、避難指示解除時に帰還すべき住民の個人被ばく線量を求めることができる方法を検討し、その実施上の留意点を整理する。本稿の第1部では、FDNPP事故後の住民の被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みを概観し、第2部では、FDNPP事故後の住民の被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みを概観する。
高橋 知之*; 内田 滋夫*; 武田 聖司; 中居 邦浩*
KURNS-EKR-11, p.97 - 102, 2021/03
農作物や水産物への元素の移行係数等の生活圏環境移行パラメータに対するIAEAのデータベースの取りまとめ状況や、わが国における放射性廃棄物処分の被ばく線量評価におけるデータベースの活用の状況について概説するとともに、将来の具体的な放射性廃棄物処分の地域における被ばく線量評価を想定した場合に対し、今後の生活圏環境移行パラメータのデータベース構築に必要な戦略、整備されるべき観点、課題点等に関して、専門家の意見と総合討論の結果について取りまとめた。
植頭 康裕
いわき市・東日本大震災復興記憶集, P. 37, 2021/00
2011年3月11日に発生した東日本大震災への対応について、環境モニタリング、内部被ばく評価、放射線教育、人材育成の観点から記載した。
富田 純平; 竹内 絵里奈
Applied Radiation and Isotopes, 150, p.103 - 109, 2019/08
被引用回数:14 パーセンタイル:82.61(Chemistry, Inorganic & Nuclear)緊急時における作業者の内部被ばくを評価するために、尿中Sr迅速分析法を開発した。尿試料中のSrはリン酸塩共沈及びプレフィルター, TRUレジン及びSrレジンのタンデムカラムを用いた抽出クロマトグラフィーにより迅速に分離され、Sr濃度はトリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS/MS)により定量された。1mL minの酸素リアクションガス流量でMS/MSモードにより測定したところ、50mg-Sr Lまでは、m/z=90におけるSrのテーリングは見られなかった。m/z=90の干渉となるGe, Se及びZrは、化学分離により除去された。既知量のSrと1mgのGe, Se, Sr及びZrを含む合成尿(1.2-1.6L)を用いて分析法の妥当性を確認した。尿試料からのSrの分離及びICP-MS/MSによるSr測定に要する時間は約10時間、検出限界値は尿試料あたり1Bqであった。
太田 雅和; 堅田 元喜; 永井 晴康; 寺田 宏明
Journal of Environmental Radioactivity, 162-163, p.189 - 204, 2016/10
被引用回数:7 パーセンタイル:22.36(Environmental Sciences)陸面Cモデル(SOLVEG-II)を用いて、植生の炭素取り込みが原子力施設周辺の植生への炭素14(C)の蓄積に及ぼす影響を評価した。SOLVEG-II、気象モデルおよび大気拡散モデルを結合したモデル計算を、2007年の六ヶ所再処理工場(RRP)の試験運転中のCO移行に適用した。RRP周辺の水田における白米中C比放射能の計算値は観測値と一致した。RRPからのCO連続放出を仮定した数値実験の結果から、収穫時の稲のC比放射能と大気中C比放射能の年平均値が異なることが示され、これは大気中CO濃度の季節変動と稲の成長に起因したものであった。CO放出を日中に限定したところ、日中の光合成による高いCO取り込みの効果によって、夜間に放出を限定した場合に比べて稲のC蓄積が顕著に増加した。以上より、長期連続あるいは日内の短期CO放出時のCの経口摂取による被ばく評価では、各々、植物の成長段階と光合成を考慮する必要があることがわかった。
辻本 和文; 田澤 勇次郎; 大井川 宏之; 佐々 敏信; 高野 秀機
JAERI-Tech 2003-085, 158 Pages, 2003/11
加速器駆動未臨界システム(ADS)を用いた核変換技術の炉物理に関する研究開発を目的とした「核変換物理実験施設」の安全性の検討を行った。まず、実験施設の設計に反映させるために、以前に作成した「核変換物理実験施設の安全設計方針」及び重要度分類を見直し、安全設計方針の各項目に対する適合のための設計方針を検討した。この結果に基づき、陽子ビーム導入にかかわる機器・系統及び安全上重要な機器・系統について具体的な設計方針と主要設備の検討を行った。また、安全上重要な機器・系統に関する設計方針の検討結果を反映して、以前に実施した安全評価の判断基準,主要な解析条件及び予備解析結果の再評価を行った。この際に、公衆被ばく評価事象については、ICRP1990年勧告を取り入れて改訂された安全評価指針類に基づく線量評価を行った。さらに、核変換物理実験施設における設計基準外事象として、再臨界事象に伴う炉心崩壊事故を最新の知見及び計算機コードを用いて解析した。解析の結果、再臨界事象時においても原子炉建家の閉じ込め性能は十分確保される見込みであることがわかった。
本間 俊充; 高橋 知之*; 外川 織彦
保健物理, 36(4), p.308 - 313, 2001/12
原研とチェルノブイリ国際研究センターとの研究協力テーマ2では、確率論的事故影響評価コードOSCAARの信頼性評価研究の一環として、チェルノブイリ周辺の実環境で得られた測定データを用いて地表面沈着核種からの長期外部被ばく線量評価モデルの検証を行い、その性能を確認し、主要なパラメータを同定した。また、サイト近傍の早期被ばく線量の推定のために、OSCAARを適用し、粒径の大きなCs-137,Zr-95等の地表沈着からの外部被ばくの寄与が大きく、早期被曝評価の観点からは放出物の粒径等詳細な放出源情報が必要なことを明らかにした。
遠藤 章
日本原子力学会誌, 43(12), p.1191 - 1194, 2001/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)放射性核種によって人体が受ける被ばく線量を計算するためには、その核種の半減期,放出される放射線のエネルギーや放出率のデータが必要である。これらのデータとして、国際放射線防護委員会(ICRP)が1983年に公刊したICRP Publication 38(ICRP38)のデータが利用されている。本稿では、このICRP38に焦点をあて、これが編集された背景やこれまでの利用、そして、現在計画されているICRP38の改訂の動向などについて解説する。
大越 実
KURRI-KR-56, p.39 - 57, 2001/03
原研においては、原子力安全委員会におけるクリアランスレベルの検討に貢献するために、原子炉施設から発生するコンクリート及び金属に関するクリアランスレベルの計算を行った。クリアランスレベルの計算は、金属及びコンクリートを埋設処分または再利用することを想定し、10Sv/年に相当する放射性物質の濃度を求めることにより行った。また、原研は、科学技術庁から委託により、将来の原子力施設の解体に伴って大量に発生する極めて放射能レベルの低い放射性固体廃棄物の簡易埋設処分にかかわる安全性実証試験を実施した。本試験の安全評価は、埋設施設の構造,廃棄物の特性,周辺の地質・地下水条件等を考慮して実施した。本報告においては、クリアランスレベルの計算方法と極低レベル廃棄物埋設施設の安全評価の概要について報告する。
原田 康典; 笹本 宣雄; 坂本 幸夫; 黒澤 直弘*; 富田 賢一*
JAERI-Data/Code 97-013, 196 Pages, 1997/03
加速器施設や放射性物質取扱施設では、法令に基づく使用許可申請書作成業務における作業者の被ばく評価や作業環境の健全性確保のための線源評価ならびに遮蔽計算が行われている。これらの評価は、大型計算機による解析が一般的であるが、小規模施設や放射線管理業務の現場から大型計算機へのアクセスは、効率的ではない。そこで最近の発達が目覚ましく、一般的に普及しているパーソナルコンピュータによる計算が可能なように、ORIGEN-2,QAD及びG33コードを本来の性能を損なわないように改良した。主な改良点は、次のとおりである。(1)会話形式による入力が可能となった。(2)計算のための入出力ファイルの保存が可能となった。(3)ORIGEN-2の計算結果を直接QAD及びG33に取込めるようになった。(4)計算結果の図形出力が可能となった。
古田 定昭; 池田 幸喜; 見掛 信一郎; 今枝 靖博; 永崎 靖志; 鈴木 一; 野村 幸広
no journal, ,
原子力機構の瑞浪超深地層研究所では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発として、立坑や水平坑道を設置し、地下水の水圧や水質の観測などを実施している。研究所周辺は花崗岩地帯であることから、平成24, 25年度に深度300mにある延長100mの水平坑道内における空気中の平衡等価ラドン濃度を測定したところ、季節的な変化として夏季に高くなる傾向が見られた。これは外気温が高いことにより地下坑道の自然換気が抑制されたためと考えられる。平衡等価ラドン濃度は最大値3,300Bq/mが観測されたが、作業者の入坑時間帯(送風時、1015時)では、月平均濃度で最大765Bq/m、最小37Bq/mであった。この間、1,880Bq/mの最大濃度(1時間値)が測定された。この測定データと作業者の立ち入り時間を考慮して被ばく評価を行ったところ年間1mSvを下回ることが確認された。
中村 誠; 飛田 健次; 谷川 尚; 染谷 洋二; 増井 章裕; 渡邊 和仁; 小西 哲之*; 鳥養 祐二*
no journal, ,
核融合炉において、トリチウムは燃料であり、主要な取り扱い放射性物質の一つである。核融合炉の異常や事故を想定し、環境影響を把握するために、ひばく線量の評価が重要である。本研究の目的は、被ばく線量評価手法の整備の一環として、ITERの安全評価に使用実績のあるトリチウム被ばく評価コードUFOTRIを日本の環境に適用する際の課題を明らかにすることにある。様々な気象条件(風速、大気安定度)と放出高条件のもとで、早期公衆被ばく線量計算のパラメータスキャンを行い、2次放出分の寄与を評価した。弱風の場合、放出点が低い場合、大気が不安定な場合、あるいは放出点から遠方の場合、2次放出の寄与が大きい傾向にあることが分かった。このように、放出点を高くするなどの工夫により、2次放出の寄与は小さくできるものの、遠方においてより寄与が高まることもあり、評価が重要であることを示した。
佐藤 哲朗*; 安藤 真樹; 斎藤 公明
no journal, ,
避難指示解除準備区域に住民が帰還した際に予想される生活行動パターンと経路を詳細に聞き取り調査し、その行動経路全体をカバーする空間線量率の測定を、KURAMA-IIを使用して実施した。住民が帰還した際に普段の生活で受ける被ばく線量を推定した結果、年間の追加被ばく線量の最小値が0.31[mSv]、最大値が2.62[mSv]となった。また、対象者65名のうちの72%にあたる47名の年間の追加被ばく線量は1.0[mSv]以下であった。
寺田 宏明; 永井 晴康
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故に際し、環境動態研究グループでは様々な事故対応活動を実施してきた。特に、事故後早期から、緊急時環境線量情報予測システムSPEEDI及びその世界版WSPEEDIによる大気拡散シミュレーションと環境モニタリングを組み合わせることで、大気中への放射性物質の放出量の推移を推定してきた。その後増加する環境モニタリング値やモデル改良に伴い放出量推定値を改訂してきたが、新たな取り組みとして、環境データに基づく解析と炉内事故進展解析との融合解析を進めている。放出量推定値は、旧原子力安全委員会、世界保健機関WHO、及び国連科学委員会UNSCEAR等、国内外での被ばく評価で利用されてきた。近年、WSPEEDIの大気拡散シミュレーションにより再構築した放射性核種の大気中濃度及び地表沈着量の時間空間分布が、住民の行動パターンと組み合わせた被ばく評価に活用されている。本発表では、これら一連の活動、最近の新たな取組み、及び今後の展開について述べる。
寺田 宏明; 永井 晴康
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時に大気中に放出された放射性物質による公衆の被ばく評価のため、改良版WSPEEDIを用いた大気拡散シミュレーションにより放射性物質の環境中における時間空間分布を再構築している。本研究では、その不確かさを評価するため、ソースタームにおける粒子、無機ガス、有機ガスといったIの化学形組成比による地表沈着量と大気中濃度の計算結果への影響を解析した。Iの化学形組成比を様々に変えた計算ケースによる感度実験の結果、Iの地表沈着量分布は各化学形の沈着過程に対する性質に応じて、異なる結果となったが、時間積算したI大気中濃度への影響は小さかった。測定値との比較から、Katata, et al. (2015)のソースタームを用いて計算したI沈着量は、ガス:粒子比を極端な値に設定したものに比べて高い測定値再現性を示した。
三輪 一爾; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
本報告では(その1)において算出した限定再利用に対するめやす濃度の妥当性を確認するため、再利用後の線源(再生資材)に対し、(1)1F敷地内の作業者に対する追加被ばく線量、(2)1F敷地境界の空間線量率への寄与、(3)地下水移行による海洋出口での水中濃度、について評価した。(1)の評価では、1F敷地内で線源に最も接近をする作業者の被ばく線量を評価し、その線量が放射線作業従事者の年間被ばく限度20mSv/yと比較し十分に低い値であることを確認した。(2)の評価では、1F敷地内で再利用された全再生資材から受ける敷地境界での空間線量率を解析し、その結果がバックグラウンドを合算しても敷地境界での目標値1mSv/y以下を満足することを確認できた。さらに(3)の評価として、敷地内の流速条件等を考慮した道路路盤材及びコンクリート構造物の基礎から溶出する核種の移行解析を行い、算出した水中核種濃度が現在の1F敷地内の排水基準を満足していることを示した。以上の評価から、算出しためやす濃度での限定再利用が妥当であることを確認した。
寺田 宏明; 永井 晴康
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時の住民の被ばく線量把握において、ヨウ素等の短半減期核種による事故初期の内部被ばく線量は、現時点では実測に基づく評価が困難である。そこで本研究では、最新の知見を反映した大気拡散シミュレーションの活用により、実測データと整合するように放射性物質の拡散状況を再構築することで、線量推計に必要となる実測データを補完した放射性物質大気濃度・沈着量の時間空間分布データベースを構築することを目指している。最新の気象モデルWRF及び高度なデータ同化手法を導入し、精緻な沈着過程を導入した大気拡散モデルにより原子力機構による最新の推定放出量を用いてシミュレーションを実施した。まず、Cs-137の大気中濃度と地表沈着量の計算値をそれぞれSPMろ紙テープ分析および航空機モニタリングによる観測値と比較して再現性を評価した。さらに、I-131について、I-129沈着量測定値から推定したI-131沈着分布との比較により再現性評価を行うとともに、化学形組成比についての感度解析により計算結果の不確実性を評価した。今後、気象場の再現性向上と、SPMろ紙テープ分析によるI-129濃度観測値による再現性評価が重要である。
松嶌 聡; 林 宏一
no journal, ,
トリチウム諸課題検討ワーキンググループでは核融合原型炉の開発に伴うトリチウム諸課題検討を行っている。本件は、当該ワーキンググループでの環境中トリチウムの規制目標の整理や施設内の規制目標の考え方の検討に資するため、一般的な軽水炉と比較してトリチウムの生成量が多い重水減速沸騰軽水冷却圧力管型原子炉の原型炉である「ふげん」におけるトリチウムの放出管理の実績と一般公衆の被ばく評価例を説明する。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
原子力施設の廃止措置終了確認における技術的基盤の整備のために、敷地内に残存する表層土壌汚染からの核種の地下水移行に加え、降雨強度の大きい場合に生じることが懸念される表層汚染土壌からの地表面流と土砂移動による核種移行を考慮した被ばく線量の評価方法の開発を進めている。本研究では、敷地内の地形・降雨条件等により発生する地表面流と表層汚染土壌間での核種移行、土砂移動の範囲やその量に依存した放射能濃度分布の変化や敷地に隣接する海域への直接流出による核種移行などの評価方法について検討を行った。また、汎用の土砂流出評価コードを用いて、ある地域の地形・降雨条件を基にした地表面流量及び土砂移動量の予察的解析を行い、その解析の出力を核種移行評価に適用することで上記評価を行うことができる見通しを得た。
眞田 幸尚
no journal, ,
原子力機構は事故直後より、環境モニタリングや環境中でのミクロな放射性物質の動態研究を行ってきた。2016年から政府の決定した特定復興再生拠点における放射線防護政策に基づき、詳細な環境モニタリング技術、モニタリング結果に基づいた被ばく評価及びモニタリング結果や被ばく評価ツールの情報公開をパッケージングした技術を適用し、特定復興再生拠点の解除に貢献してきた。本発表では、そのような特定復興再生拠点に適用した技術パッケージの詳細について報告する。